諸注意
- 問題本文は公式サイトまたは公式問題集を参照してください
- 統計検定2級の資格を持つ方を前提に解説していきます
問題11-1
100名の消費者を対象に10のファッションブランドに対するアンケート調査を行った。調査結果に対して因子分析を適用したとき、以下の因子負加量と共通性が得られた。この時、(ア)と(イ)の組み合わせとして適切なものを答えよ。
第1因子(洗練度) | 第2因子(普及度) | 共通性 | |
高級感 | 0.96 | (ア) | 0.9412 |
品質 | 0.75 | -0.08 | 0.5689 |
親しみ | -0.71 | (イ) | 0.8762 |
認知度 | -0.04 | 0.94 | 0.8852 |
所有率 | 0.00 | 0.70 | 0.4900 |
選択肢
① (ア) 0.14, (イ) 0.61
② (ア) -0.02, (イ) 1.59
③ (ア) -0.02, (イ) -0.17
④ (ア) 0.14, (イ) -0.17
⑤ (ア) -0.02, (イ) -0.61
答え 選択肢 ①
解説
前提知識
因子負加量と共通性
因子負加量とは、各項目が因子にどの程度寄与しているかを示す値であり、それぞれの変数が全因子によって説明される割合を共通性と呼びます。
式1
\begin{align}
&\text{共通性} = \text{因子負加量}_1^2 + \text{因子負加量}_2^2 + … \\
\end{align}
因子負加量の計算
式1より、第2因子の因子負加量(ア)と(イ)を計算します。
式2 (ア)
\begin{align}
0.9412 &= 0.96^2 + x^2 \\
x &= |0.14| \\
\end{align}
式3 (イ)
\begin{align}
0.0.8762 &= -0.71^2 + y^2 \\
y &= |0.61| \\
\end{align}
したがって、選択肢①が正解になります。
問題11-2
バリマックス回転によって定められた因子軸は、一般にどのような性質を持つ傾向にあるか。選択肢の中から最も適切なものを答えよ。
選択肢
① 特定の因子の全ての項目でのみ因子負加量の絶対値が1に近くなり、それ以外の因子の因子負加量は全て0に近くなる傾向にある
② 因子得点のプロットが均一に散らばる傾向にある
③ 因子得点のプロットが軸の近くに配置される傾向にある
④ 各因子について、いくつかの項目のみ因子負加量の絶対値が1に近くなり、それ以外の項目では因子負加量が0に近くなる傾向にある
⑤ 各因子で各項目の因子負加量が均一になる傾向にある
答え 選択肢 ④
解説
前提知識
因子分析に関する要素
- 変数・項目
⇨ アンケートの各質問(高品質・品質など) - 因子
⇨ 回転後の値(洗練度・普及度) - 因子負荷量
⇨ 各変数が特定の因子にどれだけ寄与しているかを示す数値 - 因子得点
⇨ 各個体(アンケート対象者)が因子にどれだけ関連しているかを示す数値
バリマックス回転の特性
因子負加量の分散を最大化することを目的とした回転手法。各因子が特定の変数群に強く関連し(因子負加量の絶対値が1に近づき)、他の変数群には弱く関連する(因子負加量が0に近づく)ようにすることで、因子の解釈を容易にします。
選択肢
① 特定の因子の全ての項目でのみ因子負加量の絶対値が1に近くなり、それ以外の因子の因子負加量は全て0に近くなる傾向にある
⇨ 特定の因子の一部の項目のみ高い因子負加量を示すため、全ての項目が1に近くなるわけではありません
② 因子得点のプロットが均一に散らばる傾向にある
⇨ バリマックス回転にそのような特性はありません
③ 因子得点のプロットが軸の近くに配置される傾向にある
⇨ バリマックス回転は因子得点のプロットの配置について述べるものではありません
④ 各因子について、いくつかの項目のみ因子負加量の絶対値が1に近くなり、それ以外の項目では因子負加量が0に近くなる傾向にある
⇨ 正しい
⑤ 各因子で各項目の因子負加量が均一になる傾向にある
⇨ バリマックス回転では各項目の因子負荷量が均一になるわけではありません
したがって、選択肢④が正解になります。
問題11-3
各ブランドの因子得点を以下の図の通りプロットした。この時、各ブランドのイメージに関する記述として適切ではないものを答えよ。
選択肢
① AはB, C, D, Eと比較して、洗練度・普及率ともに高い
② Cは洗練度・普及率ともに高くはない
③ FはB, C, D, Eと比較して、洗練度は低いが、普及率は高い
④ Hは普及率は低いが、I, Jと比較して洗練度は高い
⑤ Jは洗練度は低いが、普及率は最も高い
答え 選択肢 ④
解説
図解
下記の図の通り、選択肢①③④⑤は正しいです。
選択肢②は『Cは洗練度・普及率ともに高くはない』とありますが、洗練度はAに次いで2番目に高く、普及率も5番目と中間に位置します。
したがって、適切ではない選択肢は②になります。