【解説】統計検定準1級 2018年問題12

諸注意

  • 問題本文は公式サイトまたは公式問題集を参照してください
  • 統計検定2級の資格を持つ方を前提に解説していきます

問題12-1

以下のグラフは、2012年1月から2017年3月までの京都府における現金給付支給額(千円)を表した月次データの時系列プロットである。この系列のコレログラフはどれか答えよ。

選択肢(公式問題集参照)

答え 選択肢 ⑤

解説

前提知識

コレログラム
時間系列データの相関関係を理解し、データのパターンや周期性を識別するのに有効な視覚的ツールです。自己相関の強さとその時間遅延に関する洞察を提供することで、時系列分析においてデータの特性を評価するのに役立ちます。

時系列プロットの特徴

問題文のグラフより、給与は半年に1度上がる傾向(ボーナス)があります。ここから時系列データでは以下の通り、6ヶ月と12ヶ月の間隔で周期性が現れることが分かります。

したがって、選択肢⑤が正解になります。

問題12-2

以下のグラフは、現金支給給与額を3つの成分(トレンド・季節性・不規則性)に分解したものです。この図の解釈として正しくないものを答えよ。

選択肢

① トレンド成分から、現金支給給与額は増加の傾向にあるが、直近の数ヶ月は停滞している
② トレンド成分から、現金支給給与額は5年強の間で1万円程度上昇している
③ 季節成分から、年2回のボーナスの影響が読み取れる
④ 季節成分から、1年間の最大給与額と最小給与額に20万円以上の差がある
⑤ 不規則成分はホワイトノイズとみなせる

答え 選択肢 ⑤

解説

前提知識

各成分の特徴

  • 季節成分
    ⇨ 決められた間隔で常に一定の値を繰り返す
  • トレンド成分
    ⇨ 季節成分を除いた時の増減傾向を示す
  • 不規則成分
    ⇨ 元データから季節成分とトレンド成分を差し引いた値を示す


季節成分とトレンド成分の相関

季節成分は一定の変化を捉えることができますが、一定ではない変化を捉えることができません。例えば、トレンド成分によって季節成分が変動する場合、季節成分の一部が不規則成分に現れます。

選択肢

① トレンド成分から、現金支給給与額は増加の傾向にあるが、直近の数ヶ月は停滞している
⇨ 正しい(約1.2万円程度上昇しているが、2015年と2017年では停滞気味)

② トレンド成分から、現金支給給与額は5年強の間で1万円程度上昇している
⇨ 正しい(約1.2万円程度上昇している)

③ 季節成分から、年2回のボーナスの影響が読み取れる
⇨ 正しい(年に2回、6月と12月にスパイクが見られる)

④ 季節成分から、1年間の最大給与額と最小給与額に20万円以上の差がある
⇨ 正しい(約25万円程度の差が見られる)

⑤ 不規則成分はホワイトノイズとみなせる
⇨ 誤り(季節成分のスパイクと同じ時期に不規則成分の絶対値も大きな値を示している)

トレンド成分(給与の額)に応じて季節成分(ボーナスの額)も増減するため、季節成分の一部が不規則成分として現れています。

したがって、適切ではない選択肢は⑤になります。

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